Q. 社長就任にあたっての抱負をお聞かせください

ものづくりの真摯な姿勢を引き継ぎ、今後はさらに攻めの経営へ

去年の11月27日付で、代表取締役に就任しました。
丸和ニットは曾祖父が米穀店から始め、2代目の祖父の頃にメリヤス製造業に着手して大きく成長し、父が3代目で、私が4代目になります。
父親である前社長は、男気があり、真面目で、責任感が強く、昔から変わらず尊敬する存在です。海外のSPA(製造小売業)が台頭し、生産拠点がどんどん中国に移っていくという逆風の中で、苦渋の決断を余儀なくされた姿も間近で見てきました。

父が必死で守ってきた会社というバトンを受け取り、ものづくりに対する真摯な姿勢を引き継ぎながらも、今後は少しずつ攻めの部分を増やしていこうと考えています。
単にニットを製造するだけではなく、ニットから派生した商品づくりを我々自身で手掛けたり、B2B向けの商品だけではなく、B2C向けにも魅力的な商品を開発できるように取り組んでいきます。

愛情をかけて育てた商品を、世の中のために

ものづくりは、作り手が愛情をもって、楽しく作ることが肝心です。手塩にかけた商品が世の中に出て、使ってくださった方が感動したり愛着を持っていただけるということが、作り手冥利につきるわけです。

近江商人の経営哲学のひとつとして、「三方よし」という言葉があります。「売り手よし、買い手よし、世間よし」という意味で、商売において、売り手と買い手が満足するだけではなく、社会貢献もできるのが良い商売ということです。作り手である社員の熱意、買ってくださるお客様への敬意、そして社会貢献という視点を、今後も大切な軸にしていきたいです。

100年企業へ向けて

日本には長寿企業が多いといわれており、世界の創業100年以上の企業の約70%が日本の企業だとか。弊社も昨年創業85周年を迎えることができました。積み重ねてきた技術を着実に引き継ぎつつ、少しずつ時代に沿った変化を続けることで、100年企業の仲間入りを果たしたいと思います。

Q. 今後注力していく、B2C向けの商品開発について教えてください

オリジナルブランド「Bebrain」を展開

今までは生産した生地を商社や問屋へ卸すことがメインでしたが、それだと最終的にお客様にどのような形で届いているのかを、見通すことが難しかったのです。そこで、消費者の方に直接届けられる商品を、自ら企画・製造することを目指しました。

そんな中で生まれたBebrain(ビブレイン)は、社外のデザイナーやパタンナーと開発した、丸和ニットのオリジナルブランドです。世界で丸和ニットにしか作れない「バランサーキュラー」という生地の魅力を、最大限に生かした商品を取り扱っています。Bebrainというブランド名には、「もっと頭と知恵を使おう」という意味を込めました。

こうしたB2C向けの商品開発にあたっては、愛情持って手を動かして作り上げたものを、消費者の方に届けるというスタンスを大切にしています。現代は衣服の大量生産・大量消費が問題になっており、年間に破棄される服は14億点とも言われます。先ほどの100年企業を目指す上でも、サステナビリティの視点は欠かせません。

Q. B2C向けの商品は、どのように展開・PRしていく戦略ですか

クラウドファンディングでの商品開発

最近の新しい取り組みとしては、通常なら破棄されてしまう規格外の生地を生かそうと、Makuake(マクアケ)というクラウドファンディングサービスで「規格外の生地を使ったジャケット」の資金を募っています。

先ほどの14億点破棄されたというのは新品の服ですが、製品になる前に、巾が規定に足りないなどの理由で破棄された生地は、さらに膨大な量に上ります。こうした問題に対し、生地から商品まで作れるメーカーとして、「世の中に必要とされるようなものづくり」のひとつの解決案を提案しました。

「服」以外の可能性にもチャレンジしたい

これまで、期間限定のポップアップストアを設けたり、東京営業所にショールームを作ったり、雑誌に掲載していただいたりすることで、丸和ニットおよびBebrainの認知拡大に努めてきました。また、現代では、口コミも非常に強力な販促効果があることを実感しています。我々のような地方の会社では、地元も一緒にアピールしてブランド化していくということも重要です。

とはいえ、丸和ニットで作っている生地にどのようなニーズがあるのか、まだまだ発掘し切れていないのが正直なところです。今はこうしてB2C向けの商品を作っていますけれども、全く異なる分野に活用できるかもしれません。機会があればあらゆることにトライし、ニーズを引き出して、それらを丁寧に形にしていきたいと考えています。